脳卒中の後遺症は家族にも大きな負担となります
人間の体の全ての動きと知能を司る脳は神経細胞によって構成されています。脳梗塞や脳出血によって、血管が詰まったり、破れたりすると、神経細胞の活動に可k瀬ない栄養や酸素が不足したり、出血した血液で圧迫されたりして障害されてしまいます。
神経細胞が障害されると、障害の部位によって体や知能にさまざまな障害が現れてきます。脳卒中を発症した直後に障害は強く現れますが、治療を行っても完全に治らない場合もあります。いわゆる後遺症です。
大脳は左右に分かれていますが、右脳が傷害されれば、左半身に麻痺が現れ、左脳が傷害されれば右半身に麻痺が現れます。このような後遺症は片麻痺といって脳卒中の後遺症としては高い頻度で見られます。右脳、左脳と順次障害が起きると、全身が動かない運動麻痺となり、寝たきりの原因となります。
脳の言語を司っている部分に障害が起きると、言葉を理解できなくなる失語症などの言語障害が起こります。そのほか、物がぼやけたり、視野半分が欠けて見える視覚障害、認知症(著しい物忘れ、判断力の低下などを引き起こす知能障害)なども脳卒中の後遺症として知られています。アルツハイマー病は認知症の原因として有名ですが、脳卒中の後遺症としての認知症が男性の半分以上、女性でも4割を占めています。
後遺症から可能な限り回復し、障害を持ったままでも日常生活を営めるようにするのがリハビリテーションです。しかし、リハビリに効果が上がるまで時間がかかるため、将来への不安でイライラしたり、怒りっぽくなったりしがちです。失語症の人は、コミュニケーションが上手くとれないためイライラしがちです。
後遺症で悩むのは脳卒中で倒れた本人だけでなく、介護のために肉体的、精神的な負担を負うことになる家族も同様です。家族には入院、外来通院などの諸費用の、経済的負担もかかってきます。